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東京地方裁判所 昭和38年(特わ)428号 判決

本店所在地

東京都荒川区日暮里町一丁目一、七九七番地

株式会社須賀商店

(右代表者 須賀喜兵衛)

本籍ならびに住居

東京都荒川区日暮里町一丁目一、九七九番地

会社々長

須賀喜兵衛

明治四二年一一月一六日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官佐藤佐治右衛門出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

1  被告会社を罰金一五〇万円に、

2  被告人須賀喜兵衛を罰金三〇万円に

それぞれ処する。

3  被告人須賀が同被告人に対する右罰金を完納することができないときは金一、〇〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は東京都荒川区日暮里町一丁目一、七九七番地に本店を置き、故紙および袋材料の販売等を営業目的とする資本金一五〇万円の株式会社であり、被告人は右被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人は被告会社の業務に関し、法人税を免れる目的で、架空仕入を計上する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、

昭和三四年五月一日より翌三五年四月三〇日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が二、二一六万二、一九八円であつたのにかかわらず、同三五年六月三〇日、東京都荒川区日暮里町七丁目四八三番地所在の所轄荒川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が七六九万三、四七七円でありこれに対する法人税額は二八二万三、四九〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて被告会社の右事業年度の正規の法人税額八三二万一、五九〇円と右申告税額との差額五四九万八、一〇〇〇円を逋脱したものである。

(右判示の事業年度における所得金額については別紙一、その逋脱所得の内容については別紙二に、それぞれ記載のとおりである。)

(証拠の標目)

右事実は

一、被告会社代表者兼被告人須賀喜兵衛(以下単に被告人という)の当公判廷における供述

二、被告人の検察官に対する供述調書二通

三、大蔵事務官作成の被告人に対する昭和三五年九月五日付、同年一一月二日付、同三六年四月一二日付、同三六年六月七日付、同年同月八日付、同年九月二八日付各質問てん末書

四、被告人外一名の共同作成にかかる上申書

1  昭和三六年二月二五日付(「簿外貸付金及び前払金並びに貸倒金について」と題するもの)

2  右同日付(「架空仕入の中より簿外銀行預金外の使途について」と題するもの)

3  右同日付(「簿外銀行預金並に簿外銀行借入金について」と題するもの)

4  右同日付(「須賀喜代治個人収支計算及び個人資産について」と題するもの)

5  昭和三六年三月一〇日付(「自昭和三十三年四月期至昭和三十五年四月期間の簿外貸付について」と題するもの)

五、高橋久郎の検察官に対する供述調書三通

六、大蔵事務官作成の右同人に対する質問てん末書五通

七、右同人作成の上申書

1  昭和三六年八月八日付(「買掛金簿外支払メモ、簿外貸付金整理メモによる調査について」と題するもの)

2  同日付(「簿外銀行預金、簿外借入金訂正について」と題するもの)

八、佐々木正義作成の銀行調査書

九、法人税確定申告書綴り写し

一〇、大蔵事務官鈴木之義作成の証明書(青色申告書提出の取消決議書ならびに同取消通知書の写し各一通添付)

一一、登記官岡田正一作成の登記簿謄本

一二、株式会社須賀商店定款写し

一三、押収にかかる証拠物

1  銀行勘定帳一冊(昭和三九年押第一、〇七八号の一)

2  経費明細表二冊(前同押号の二)

3  仕入元帳二冊(前同押号の三)

4  売上帳二冊(前同押号の四)

5  領収書控一冊(昭和三七年東地領第一、二〇〇号の符第一一二の一号)

6  買掛金簿外支払メモ一袋(昭和三九年押第一、〇七八号の七)

7  銀行利息計算書一袋(前同押号の八)

8  架空仕入メモ一袋(前同押号の九)

9  銀行勘定帳一冊(前同押号の一〇)

を綜合してこれを認める。

(法令の適用)

被告人須賀喜兵衛の判示所為は、昭和三七年法律第四五号付則第一一項により、同三二年法律第二八号により改正された法人税法第四八条第一項に、被告会社の判示所為は、同様に右同法人税法第四八条第一項および同二五年法律第七二号により改正された同法第五一条第一項にそれぞれ該当するところ、被告人については所定刑中罰金刑を選択し、いずれもその所定罰金額の範囲において、被告会社を罰金一五〇万円に、被告人須賀を罰金三〇万円に各処することとし、なお刑法第一八条により被告人須賀が同被告人に対する右罰金を完納することができないときは金一、〇〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 鈴木重光 裁判官 福島重雄 裁判官 武藤冬士己)

別紙第一 修正損益計算書

34.5.1~35.4.30

〈省略〉

別紙第二 逋脱所得の内容

自 昭和34年5月1日

至 同 35年4月30日

〈省略〉

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